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ケロイドとは?
ケロイドとは傷口やその周囲の皮膚が盛り上がり、赤く腫れ上がったり、痛みやかゆみを感じたりする疾患です。この疾患は擦り傷や切り傷などの外傷ややけどが治癒していくプロセスで、瘢痕(はんこん、傷跡のこと)の繊維成分(コラーゲン)が異常に増えることで現れると考えられています。
ケロイドの症状
ケロイドの症状は、大きく真性ケロイドと肥厚性瘢痕の2種類に分けて考えられます。
真性ケロイドの症状
真性ケロイドは全身どこにでも発生の可能性があるケロイドで、もとになる傷口の範囲を超えて赤み、盛り上がり、痛み、かゆみが生じます。症状は肥厚性瘢痕に比べて強い傾向にあります。
肥厚性瘢痕の症状
肥厚性瘢痕も基本的に全身どこにでも発生しますが、関節部を中心にもとになる傷口周辺の皮膚が引っ張られやすい部位に現れやすい傾向があります。赤み、盛り上がり、痛み、かゆみがあり、基本的にもとになる傷口の範囲内に生じます。
ケロイドの原因
真性ケロイドの原因
真性ケロイドの原因は不明で、皮膚のわずかな傷(ピアス穴、ニキビなど)から発症することもあります。いわゆるケロイド体質の方ほど発症しやすい傾向があります。
肥厚性瘢痕の原因
肥厚性瘢痕は比較的深く、広い傷の治りが遅かった場合に発生すると考えられています。ケロイド体質の有無に関わらず発症しますが、大きさのある肥厚性瘢痕ができる場合はケロイド体質を持っていることもあります。
ケロイドの診断・治療方法
ケロイドの診断
ケロイドの診断は、視診と問診によって行います。真性ケロイドと肥厚性瘢痕では治療方針が異なるため、慎重に判断することが大切です。また皮膚繊維肉腫という疾患との区別が難しい場合は、皮膚組織の検査も検討します。
ケロイドの治療方法
ケロイドの治療方法は、大きく保存療法と手術療法に分かれます。
保存療法
保存療法とは、直接疾患にアプローチする手術療法とは違い、症状改善、緩和を目的とする治療方法です。ケロイドにおける保存療法には以下の4つをはじめとして様々な方法があり、患者様の体質や年齢、症状のある部位によって使い分けます。適切な処置を行えば、手術療法を施さなくても症状が改善することも少なくありません。
圧迫療法
テープやシリコンゲルシートなどを使用して圧迫して患部を固定します。
外用療法
ステロイドの貼り薬や塗り薬を使用します。
内服療法
抗アレルギー剤の飲み薬によって、かゆみなどの症状を抑制します。
局所注射法
患部に直接ステロイドを注射します。
手術療法
ケロイドによって関節がうまく動かなくなっていたり(瘢痕拘縮:はんこんこうしゅく)、目立つ場所にケロイドができて見た目が気になったりする場合は、手術療法によってケロイドを切除します。
従来は「ケロイドは切除すると、術前よりも大きくなる」が定説でしたが、近年は縫合方法を工夫したり、術後に放射線治療を行なったりすることで、再発を防止できるようになってきています。
とはいえ、再発リスクがゼロになったわけではないため、事前に医師とよく相談のうえ、患者様ご自身で判断いただく必要があります。
術後に放射線治療を行う際の注意点
確かに術後に患部へ放射線を照射することで、再発防止効果が期待できます。しかし放射線を照射している限りは、患部周囲の正常な皮膚への悪影響がゼロだと断言することはできません。手術療法と同様に、前もって慎重に検討いただく必要があります。